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お箸の話

PART 1:お箸に関するQ&A
Q:今、日本ではどのくらい割り箸が使われていますか?
A:1年間に約231億膳の割り箸が使われています。一人当たりでは200膳弱(約180本)の割り箸を毎年使い捨てていることになります(2007年 林野庁、日本割箸輸入協会資料より推計)。1960年頃までは約40数億膳でした。古くは昭和以前
から戦後の高度成長期前までは、日本の林業や割り箸業者が、適切な森林育成のために間伐した木材や、家屋・家具などの生産で余った端材をそのまま捨てるのが「もったいない」ということで割り箸にして、私たちの食生活で使ってきましたが、戦後の高度経済成長とともに消費量が急増していき、さらなるコスト削減や経費削減の追求などによって、次第に国産物から、より安価な輸入物へと移っていきました。

Q:割り箸はどこからくるの?
A:現在、日本国内で消費されている割り箸の約97〜98%が輸入物です。そして、その輸入された割り箸のうち約
98%は中国からのもので、その他はベトナム、ロシア、チリ、タイ、インドネシア、台湾など、広く東南アジアや南米などから輸入しています。最近では中国での無計画な伐採(山を丸ごと刈る皆伐(かいばつ)など)によって、相当な環境破壊や洪水などの災害を引き起こしてきたため、中国国内の木材の伐採を禁止しているそうです。

但し、日本の消費量(=私たちの大量消費・大量廃棄のライフスタイル)は依然
変わらないため、最近中国で加工される割箸の大半は中国の森林を使わずに、さらにその先のロシアや蒙古の原生林などを切り倒して加工し、日本へ輸出し始めているようです。

つまり、私たちのライフスタイルが変わらない限り、世界中の森林を次々と矛先を変えて、伐採し続けて、世界中に迷惑を掛け続けることになります。この場合の問題は、日本のように森林育成を考慮した間伐材や端材を利用した割り箸とは異なり
、これらの国々では木々を伐採した後に植林が適切に行われないことが多いために、営利目的に山を丸裸に(皆伐)して次の山へと伐採していって、さらなる森林破壊や災害に繋がっていくことにあります。既にこの影響は少なからずも、日本にも及んできているのではないでしょうか。故に、輸入割り箸は価格が安いのですが、これは地球や未来の世代に多大な負債を残していくことになるのです。

Q:割り箸にはどんな木が使われていますか?
A:中国から輸入されている割り箸はシラカバやエゾマツ、アスペンや、竹などから作られています。これらは割り箸を生産するために伐採されています。国産の割り箸はスギやヒノキの端材から作られている高級箸のほか、シナノキ、シラカバなどの原木から作られるものがありますが、低価格の輸入箸に押されて減少しています。(一部ではありますが、間伐材を利用した割り箸もあるようです。)

Q:割り箸はリサイクルできるの?
A:回収した割り箸を紙パルプの原料にしたり、炭を作るなどのリサイクル運動が行われています。また、パーティクルボード(集成材)へリサイクルする例もあります。しかし、リサイクルするには人手や輸送など、エネルギーと費用がかかるため、割り箸が大量に流通している現状では、回収・リサイクルには限界があります。ほとんどの割り箸は使用後にゴミとして廃棄・焼却処分されているようです。


PART 2:お箸について
 箸の歴史について、日本には古くは弥生の頃に伝来したとも云われており、当初一般的なものではなく、祭事や神器のためだったものを、後(7世紀はじめ頃)に聖徳太子によってまずは宮中で取り入れられ、次第に一般家庭においても、お食事の際にお箸を使う「箸食」が日本で広まっていったと云われています。[出展: 箸蔵山/箸蔵寺 「箸の話: お箸の歴史」より(徳島県三好市池田町) 当クラブとは直接関係はございませんが、リンクさせていただきました。なお、今年 2006年の年末年始のNHK番組「ゆく年くる年」で、箸蔵寺からも生中継されました。]

お箸にはさまざまな種類が生み出されていて、お正月などお祝い事の際に使われる両口箸(両端が細く削られていて、
お箸の上端は神様のため、下側の食べる下側は人のためという意味合いもあり、晴れの日やお茶会、お客様にお出しする時に使われます。)や、片口箸(片一方だけが細く削られていて、普段(ケの日)に使うもの。)などがあります。

その他、最近ではお食事の用途別に、例えばラーメン用・うどん/パスタ用・焼き魚用や、折れて使えなくなった木製の野球バットを大切に再利用しようということで、そのバットから作られたお箸もあるとか・・・。また、全国には様々な材料や伝統技法を使ったお箸が無数にあり、例えば漆(うるし)塗りのお箸などは、その美しさや繊細さを楽しんだり、年月と共に透明度が増してさらに美しく変化していき、適切に手入れ保存すれば、硬化していくことで耐久性がアップすれば数千年は持つと云われています。


「箸」という言葉を含む日本のことわざや熟語、食文化、各地での催事などは実に非常にたくさんあります。「箸が転んでもおかしい年頃・・・」「箸で銜めるように・・・」「大飯食らい箸を選ばず・・・」など、私たちの生活に非常に密着したものなのです。

また、食事の際のお箸の使い方やマナーについて、やってはいけない作法(嫌い箸)がたくさん残っています。迷い箸・寄せ箸・探り箸・噛み箸・刺し箸・かき箸・涙箸・せせり箸・・・など、そこには先代からの知恵が満載で、お箸の使い方を通して、「日本人として、やってはいけないこと」「日本人として、恥ずかしいこと」を伝えてきたのです。
お箸の使い方に関するタブー集

最近は、お子さんだけでなく親でさえ、お箸を正しく持てなかったり、使えなかったりすることをよく見かけます。 ある高校や会社では、入試/面接のチェック項目として、お箸の使い方がきちんと出来ているかをみるところも出てきているそうです。 お箸の持ち方や使い方を見れば、その方の育った家庭環境や人柄まで分かってしまうようです。

このように日本人として正しくお箸を使うことを通して、私たち日本人の心と伝統を伝えていくのと同時に、私たちが忘れつつある大切なものに気づくこともあるでしょう。


PART 3:割り箸について
 割り箸については、江戸の頃より次第に日本の文化とともに育まれ、また種類も様々なものが存在しています。割れ目だけ入っていて角や面取りなどの加工が施されていないシンプルな「丁六(ちょうろく)」から、少し加工が入った「小判(こばん)」や「元禄(げんろく)」、また高級レストランなどで出されることの多い「天削(てんそげ)」や「利休・利久(りきゅう)」、そして最高級の「卵中(らんちゅう)」など、お客さまへのおもてなしの心づかいや催事(祭事・歳時)のニーズに合わせて、細やかな配慮と共に形作られてきました。

また割り箸の材料も、高度経済成長期までは日本の森林を適切に保護して育てていく際に発生する間伐材や、酒樽・家屋・家具の生産で余った端材をそのまま捨てるのが「もったいない」という心、有効利用するということで割り箸が作られてきましたが、最近では大量消費や価格競争により、
中国など諸外国の森林を伐採した輸入物を安く大量に消費することで、私たち日本人は地球環境の生態系にも多大な影響を与えています。

割り箸は、その見た目にも美しい木目調、遠足などでお弁当に手軽に携帯できる便利さ、お客さまへのおもてなしとして常に新品なものを使っていただきたいという配慮や心づかい、また清潔好きな日本人の食文化にまさにぴったりで、これも
日本の風土や食文化と共に生み出され、育まれてきた日本特有の知恵とアイディアの詰まった商品だったのです。

本来、
日本人に親しまれてきた割り箸には罪はなく、悪いのは私たちの今のライフスタイルの象徴でもある「大量消費・大量廃棄」、それによる海外での森林伐採などの環境破壊なのかもしれません。 箸を持つことで箸にまつわる様々なこと、日本の森林事情を知ったり、国産材の有効利用などを再認識する良いきっかけになれば・・・・と考えています。 


現在、日本の森林は荒廃しています。

都会にいると忘れてしまいがちですが、森林は人間の生活になくてはならないものです。空気を清浄化したり、地球温暖化の原因と言われている過剰に排出された二酸化炭素を固定したり、温度調整の役割り、また森に降った雨が長い時間を掛けてろ過され、私たちの飲み水となるのはもちろんのこと、河川へと流れ込み、野菜や米などの作物を育てるための栄養豊かな水資源となったり、海に流れ出たものは近海魚を育む漁業にも繋がっているのです。

また「食」という側面だけでなく、 マイ箸を持つことで、日本の
文化や伝統工芸、職人魂、日本人が大切にしてきた心づかいや思いやり、生活の中の知恵や工夫の再発見、ライフスタイルや価値感の見直し(本当に大切なものはなんだろうか)といった気づきも多くなります。例えば、茶道の懐石ではマイ箸を無理に使うこともなく、出された木のお箸を使って戴くことで、木の香りなども楽しめ、茶の心も大切にすることにもなります。

最近では国産間伐材の割り箸の価値や重要性も見直されてきており、日本各地の産地で作り続けてこられた方たちだけでなく、NPO法人や行政・自治体との連携や様々な工夫により、全国の店舗や食堂に導入され始めてきています。適切に管理された森林(FSC森林認証)から作られた割り箸なども出てきています。(例:北海道上川郡下川町、四国エリアなどの林業・お箸メーカー様など。)

飲食店の経営をされている方は、このような国産物で漂白剤も防かび剤などの薬品を一切使っていない安全・安心できる割り箸があることを知っていただき、最近では輸入割り箸も高騰してきており、今後は割り箸の輸入制限もあるかもしれないという話もあるようですので、ぜひ国産の割り箸の導入なども検討してみてはいかがでしょうか。

その際は、マイ箸ユーザーとしては輸入物なのか国産物なのかが気になるところですので、国産間伐剤の割り箸であることを店舗内のどこに表示いただければ、その店舗の姿勢も見えて、そのお店に対しての共感度もアップすることでしょう。


普段の生活ではマイ箸を使ったり、国産材割り箸を使っていると分かる場合には日本の森林資源の循環のためにも割り箸を割って「本当の木の香り」を楽しんでみたり、また晴れの日などのTPOに合わせて、例えば新年の祝い席では箸袋に入った両口箸の卵中や利休など、日本の木から作られた割り箸を使っておせち料理を家族揃って新鮮な気持ちとともにいただくことが、本当の豊かさや贅沢なのかもしれません・・・。

このように、マイ箸を持つことでいろいろと面白い発見や気づき
があったり、意識も視野も広がり、本当はどうすることがよいのだろうか・・・など、考えてみるのも楽しいものです。最近では、環境面だけでなく、可愛いお箸や便利な箸も販売されていて、ファッション性や個性やライフスタイルの表現としてお箸を持つ方も増えてきました。

日本の心を脈々と
伝えてきてくれた個性豊かなお箸・・・
ぜひ、今から気軽にはじめてみませんか。

[2009.2.25]